しょぼい理系ブログ

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環境計量士は理系におすすめの資格

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しょぼい理系です。

理系、特に研究職に就くとあまり取得できる資格ってないんですよね。

大卒、院卒の研究者の多くの方が持っているのは、危険物取扱者(甲種)あたりでしょうか。

でもこれって結構多くの方が持っている上、ガソリンスタンドで働くとかでない限り、あんまり使い道ないんですよね・・・

以前の記事「私が環境調査会社へ転職したワケ」にも書きましたが、環境計量士は難易度は高めですが需要が高く、潰しの効く資格だと思います。

計量士ってどんな資格?

計量士には環境計量士と一般計量士があり、さらに環境計量士には濃度関係と騒音振動関係の2区分があります。それぞれ計量の対象が違います。

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一般計量士は工場やスーパーマーケットなどで使用されているような計量器の管理を行うため、あまり科学の知識は要されません。

一方、環境計量士は科学現象の理解が求められます。

特に濃度関係は有機化学無機化学、物理化学の幅広い知識が要求され、様々な測定器に関する知識も必要なため、化学を専攻してきた人におすすめです。

試験の実施要領は?

試験は全部で4科目あります。

午前中に行う2科目は「専門科目」と呼ばれ、試験区分によって異なります。

午後に行う2科目は「共通科目」と呼ばれ、どの試験区分でも同じものになります。

 

●環化(専門)・・・環境基本法大気汚染防止法水質汚濁防止法について(5問)+高校~大学レベルの化学(20問)

●環濃(専門)・・・濃度の測定と計算に関する問題(25問)

●法規(共通)・・・「計量法」の内容についての問題(25問)

●管理(共通)・・・統計や数値の管理の方法について(25問)

 

専門2科目の合計(200点満点、全50問)、共通2科目の合計(200点満点、全50問)の両方でボーダーを満たすことで、晴れて合格となります。

また、環境計量士には「部分合格」の制度はありませんので、どちらか一方でもおとした場合、再受験のときには両方受け直さなければなりません。

ただし、一度どれかの区分(例えば、濃度関係)に合格すると、次に別の区分(騒音・振動関係または一般計量士)を受験する際に、共通科目が免除となります。

過去の合格基準は?

過去10年間分をさかのぼってみると、共通科目はすべて120点以上(30/50問)となっています。

その一方で、専門科目はその年によって大きくばらつきがあります。

    濃度 騒音振動
第60回 2010年3月 96点以上(24/50問) 100点以上(25/50問)
第61回 2011年3月 96点以上(24/50問) 96点以上(24/50問)
第62回 2012年3月 92点以上(23/50問) 92点以上(23/50問)
第63回 2013年3月 92点以上(23/50問) 108点以上(27/50問)
第64回 2014年3月 88点以上(22/50問) 104点以上(26/50問)
第65回 2015年3月 100点以上(25/50問) 112点以上(28/50問)
第66回 2016年3月 108点以上(27/50問) 104点以上(26/50問)
第67回 2017年3月 108点以上(27/50問) 112点以上(28/50問)
第68回 2018年3月 104点以上(26/50問) 100点以上(25/50問)
第69回 2018年12月 112点以上(28/50問) 112点以上(28/50問)
第70回 2019年12月 100点以上(25/50問) 108点以上(27/50問)

ボーダーが最も高くて112点以上(28/50問)となっていますので、5割5分強とれていればほぼ合格といえると思います。

なお、ボーダーが120点以上(30/50問)以上となることはありませんので、6割強取れれば合格確実となります。

最も低いときでは88点以上(22/50問)となりますので、4割5分取れていればワンチャンある、といえますね。

このようにボーダーに違いがあるのは、合格者数が年によってばらつかないように配慮しているようです。

実際、経済産業省が発表している各年の合格率はおおむね15~20%の範囲に収まっています。

ちなみに、この「合格率」を求める際の分母は「出願者数」ではなく、当日の「受験者数」となっています。

これが意味するのは、「全く勉強してないけど、もしかしたら合格するかもしれない」とか言っている受験者が増えてくれれば、しっかり勉強した人に有利、ということです。

(2020/2/18追記)

第70回は濃度関係で25点がボーダーでした。近年の中では難易度が高めだったようですね。合格率は15.4%でした。私、しょぼい理系も無事一発合格できました!

理系向けのおすすめ勉強法(濃度関係)

しょぼい理系は「濃度関係」の区分で、2019年12月実施の第70回で初めて受験しました。

結果はまだ出ていませんが、自己採点では合格圏となっています。

さて、そんな私の勉強法ですが、前回分(第69回)を除く7年分の過去問(第62回~第68回)を3周し、引っかかった問題にチェックします。そのチェックした問題のみ、4周目を行いました。

そして試験1週間前に前回分(第69回)の過去問を経済産業省HPから印刷して解きました(下リンクから飛べます)。

過去の計量士国家試験問題(METI/経済産業省)

7年分の過去問(第62回~第68回)は、問題のジャンルごとに分かれており、解説もそれなりに充実している攻略問題集がお勧めです。

理系の大卒以上の方であれば、基本的に過去問を繰り返し解くだけでOKですが、1日平均2時間勉強時間があるとしても、3か月は見ておいた方がいいでしょう(2時間×3ヶ月=約180時間)。

特に難しいといわれるのは専門科目の「環化」です。

他の3科目が反復で攻略できるのに対して、この科目だけは大学院試験レベルの問題も5~10問出題されるので、化学の基礎力が試されます。

時間をかけて大学時代の知識を呼び起こすことをお勧めします。

前回分の過去問についてですが、経済産業省HPには解答しか載っていないので、不慣れな段階ではなぜその回答になるのかを調べるのに多大な時間がかかってしまうと思います。

最後の詰めの段階で練習を兼ねて行いましょう。

最後に

環境計量士(濃度関係)は化学のバックグラウンドがある研究者におすすめな資格です。

ただし、国家資格の中でも難易度は高く、多くの学習時間を割く必要があります。

過去問についてはインターネット上でも解説しているサイトはほとんどありませんので、 noteで販売を開始しました。よろしければご活用ください。

note.com

それでは最後までご覧いただき、ありがとうございました。